2016年11月30日水曜日

第11回〜学力を鍛える(2)〜

——学力は勉強だけで鍛えるという考えから逃れる。





この言葉の裏側には、「学力は勉強だけで鍛えられない」という本質が潜んでいます。





学校の定期テストで高い得点が取れることと、聡明であることは別の話です。実人生で直面する問題は、答えが決まっている学校時代のテストとは違って、答えは用意されていません。





答えが用意されていない以上、答えを創り出す必要があります。それが「問題解決能力」です。実人生のあらゆる場面で求められる力です。現代のように先が読めない時代であればなおさらです。





それは仕事においても変わりありません。有能な人材の条件として、問題解決能力を挙げない企業はないでしょう。その力はリスクヘッジそのものだからです。





「答えのある問題」を答える力と、「答えのない問題」を答える力は似て非なるものです。前者の力を身につけたからといって、後者の力が自然と得られるわけではありません。受験や就活を勝ち抜くことと、人生を生き抜く力は別です。





「答えを見つける」ことに慣れている人が、「答えがない」状況にシフトしたらどうするでしょうか。





答えを探すか、何もしないか、そのどちらかです。ネットから「自分に合った答え」を探します。





しかし、たとえ「答え」を見つけたとしても、それは「誰かの答え」であって「自分の答え」ではありません。「誰かの答え」を自分に当てはめても、違う人生なのですからズレが生じます。





そのズレによる思いがけない不利な状況を、人は「運が悪い」と表現します。





時代が不安定になればなるほど、教育の投資はリスクヘッジを動機とします。しかし、答えを見つける訓練に傾倒することで、「聡明な判断力」から遠ざかり、多くのリスクを抱え込むという矛盾をはらんでいます。





原因と結果は一対一で対応していない。これが問題解決に必要な視点です。複数の原因が一つの結果を招いています。「複数の原因」を探り、それがどのように結果に影響を与えているのかを判断することで、解決に向けて前進します。





問題は常に発生しています。単に表面化していないだけで、問題の種はいたるところに蒔かれ、ひょんなきっかけで「発芽」します。それが根を生やす前に察知して取り除くのも、問題解決能力のひとつです。





この力の土台は読書習慣です。本は先人が直面した問題解決のプロセスを活字として残したものです。さらに直接対話のコミュニケーション力を高めることで、本の知識を運用レベルにまで引き上げます。





問題解決能力とは「自力」で解決するだけではありません。「他力」を得ることでしか解決できない問題もたくさんあります。「聡明な判断力」とは、本当の意味で「他力」を理解する力ともいえます。







2016.11.30